腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第1回学術集会

完全寛解へ導入できた小児献腎移植後FSGS再発の1例


東邦大学医学部 小児腎臓学講座
○吉田賢弘、濱崎祐子、久保田舞、高橋雄介、宍戸清一郎
東邦大学医学部 腎臓学講座
板橋淑裕、河村毅、酒井謙、相川厚

【症例】15歳、男児
2歳時発症のステロイド抵抗性ネフローゼ症候群。微小変化型であり、シクロスポリンおよびステロイドパルス療法(MPT)にて寛解した。4回目の再発時に巣状分節性糸球体硬化症(FSGS)と診断された。その後、徐々に腎機能障害が進行し13歳時より腹膜透析を開始した。
15歳時、脳死献腎移植(HLA 2ミスマッチ)を施行。前処置としてリツキシマブ375mg/m2/doseを投与し、バシリキシマブ、メチルプレドニゾロン(MP)、シクロスポリン(CSA)、ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の4剤を使用した。術中から初尿を認め、術当日の尿流出は良好であったが、術後1日より尿量減少、高度蛋白尿が出現した。アルブミン輸注により腎血流量の保持をはかったが2病日に無尿となった。同日MPTとともに血漿交換を開始し、血漿交換は3回/週で継続、腎不全に対して腹膜透析を併用した。維持免疫抑制療法としてMP、CSA、MMFを継続した。12病日の腎生検では、急性拒絶所見は認めず、FSGSの再発と診断した。また一部にCSAの毒性を疑う所見が見られたため、目標血中濃度を下げて管理した。18病日よりMPT 2クール目を行い、20病日頃より100ml前後の利尿が見られた。27病日にリツキシマブ375mg/m2/doseを投与。29病日より尿量1000ml/日以上となり、腹膜透析を離脱した。64病日には蛋白尿が消失し完全寛解に至った。血漿交換は74病日(28回)で終了し、85病日に退院となった。退院時の血清Cr 0.77mg/dl、アルブミン3.5g/dlであった。その後、再発など認めず定期的にMPTを行い寛解維持療法を継続している。