腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第2回学術集会

原疾患紫斑性腎炎(IgA vasculitis)の移植後再発および予後に関する検討


○川邊万佑子1, 山本泉1, 小松嵜陽1, 山川貴史1, 勝俣陽貴1, 勝馬愛1 ,中田泰之1, 小林賛光1, 丹野有道1, 大城戸一郎1, 坪井伸夫1, 横山啓太郎1, 堀田茂3, 奥見雅由4, 石田英樹4, 山本裕康2, 横尾隆1, 田邉一成4
1東京慈恵会医科大学 腎臓・高血圧内科、2厚木市立病院 内科、3東京女子医科大学 腎センター、4東京女子医科大学 泌尿器科

【背景】紫斑病性腎炎の移植腎予後は他の腎疾患と同等である一方、移植後再発率は11.5-61%と高く、再発による移植腎喪失の報告は0-50%と様々である。

【目的】本邦における原疾患紫斑性腎炎の生存率、移植腎喪失率、再発率を検討する。

【対象・方法】東京女子医科大学泌尿器科及び東京慈恵会医科大学において1987年から2015年までに施行された原疾患紫斑性腎炎の腎移植患者21人を対象とし、生存率、移植腎喪失率、再発率を検討した。コントロール群は同時期に移植され患者背景が同等な42人を対象とした。

【結果】紫斑性腎炎の15年生存率は100%、移植腎喪失率は5年4.8%、10年9.5%、15年19.0%でそれぞれコントロール群と有意差を認めず(p=0.22, p=.63)、移植腎喪失の原因は全て慢性抗体関連型拒絶反応であった。再発率は5年19.0%、10年28.6%であり、50%(3例)で活動性病変を認め、そのうち2例でステロイドパルス療法に加え扁桃摘出術を施行したところ、全例で治療は奏功し、再発による移植腎喪失は認めなかった。

【結論】紫斑性腎炎の生存率、移植腎喪失率は他疾患と同等であった。活動性病変を有する再発例ではステロイドパルス療法に加え扁桃摘出術を施行することで移植腎予後を改善する可能性が示唆された。