腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第2回学術集会

腎移植後のCorynebacterium感染、PR3-ANCA陽性糸球体腎炎の一例


○畑添 久美子、水谷 南、辻田 誠、二村 健太、岡田 学、木村 隆、山本 貴之、平光 高久、後藤 憲彦、鳴海 俊治、渡井 至彦、武田 朝美
名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター

【経過】31歳男性。26歳で悪性高血圧症、28歳で胸部大動脈解離、30歳で腎硬化症疑いによる末期腎不全で血液透析導入となった。導入時に創ワイヤーのMRSA感染あり、ワイヤー抜去と抗生剤治療を受けた。導入5か月後に母親をドナーとして血液型不適合腎移植を施行。退院時Cre1.70mg/dLでTac+MMF+PSLで管理されていた。移植12か月後に発熱で来院した際に、血尿、蛋白尿、腎機能低下(Cre1.98mg/dL)、CRP上昇を認め、血液培養検査でCorynebacterium boviusが陽性であった。MINOで治療を開始したが肉眼的血尿が出現し、Cre3.45mg/dLまで悪化したため第14病日に腎生検施行。激しい出血を伴う壊死性糸球体炎を認めた。また低補体血症とPR3-ANCAが4.8U/mlと上昇していることが判明し、Corynebacterium感染によるANCA関連血管炎が疑われた。mPSLパルスと血漿交換療法、VCM投与を行い、一時的に血液透析を必要としたものの腎機能と炎症反応は改善傾向を認めた。

【結語】Corynebacterium感染によるPR3-ANCA関連血管炎は報告がなく、貴重な一例と考えられた。