腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

移植腎に発症した感染関連糸球体腎炎の1例


◯冨永 健太1、廣瀬 剛1、小島 亜希1、小松 秀平1、大島 泰斗1、小島 糾1、杉崎 健太郎1、 冨安 朋宏1、山田 宗治1、吉川 憲子1、木原 優2、今野 理2、 中村 有紀2、河地 茂行3、 岩本 整2、尾田 高志1
1東京医科大学八王子医療センター 腎臓病センター腎臓内科・血液浄化療法室、2同 腎臓病センター 腎臓外科、3同 消化器外科・移植外科

【症例】 47 歳男性。44 歳時に糖尿病性腎症から末期腎不全となり腹膜透析を導入。 約半年後の 2014 年 9 月に弟 をドナーとして生体腎移植を実施。移植後拒絶反応を認めるも、ステロイドパルス療法や免疫抑制薬の調整で、Cr 2mg/dl 台の腎機能障害で推移した。 2016年 11月、2017年 2月に右下腿の蜂窩織炎を発症し、 二度目の蜂窩織炎の際に慢性腎不全の急性増悪を認め血液透析が開始された。 腎機能障害の進行に加え て、新規に C3 主体の低補体血症、糸球体性血尿を認めたため、2月24日に移植腎の生検を実施。 腎生 検所見は、一部に半月体形成を伴う管内増殖性糸球体腎炎であった。間質線維化と尿細管の萎縮も中等度みられた。 感染関連糸球体腎炎の指標として溶連菌由来の腎炎惹起性因子 nephritis-associated plasmin receptor(NAPlr)の蛍光抗体染色および plasmin 活性の組織染色を行ったところ、 共に陽性で、腎炎発症への感染の関与が確認された。蜂窩織炎の改善後も腎機能障害が残存するため、腎予後評価目的で 5月2日に移植腎の再生検を実施。 糸球体における管内増殖性変化は著明に消退し、NAPlr, plasmin 活性 の染色性も陰性化していたが、間質の線維化はさらに進行していた。

【結語】 移植腎における感染関連糸球体腎炎の報告はまれであり、病理組織所見の経時変化からみた腎機能障害遷延の理由を含め報告する。