腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

移植腎に発症し mycophenolate mofetil と 二重濾過血漿交換が有用であった膜性腎症の1例


◯太田 康介1、山﨑 浩子1、藤原 拓造2、神農 陽子3、御舩 朋代4
1独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 腎臓内科、2同 外科、3同 臨床検査科、4岡山大学病院医歯薬総合診療科 腎免疫内分泌代謝内科学

【症例】 60 歳代男性。20 歳後半からの詳細不明の慢性腎臓病にて末期腎不全に至り 50 歳代後半に配偶者より生体腎移植術(ABO 適合)を受け生着した。 術後 7 年頃に尿タンパク出現し、腎生検にて膜性腎症(MN) と診断された。半年後には尿タンパク 8.8g/日、血清 Alb 2.5g/dL、Cre 1.48mg/dLとネフローゼ状態となったため当科入院となった。 入院後メチルプレドニン(mPSL)32mg に増量したが改善せず rituximab 併用も無効であった。 その 3 か月後から mycophenolate mofetil(MMF)2000mg を併用し、半年間で血清 アルブミンが 2.0 から 2.5g/dLへ上昇した。 さらに二重濾過血漿交換(DFPP)を 7 回施行し、DFPP 前と比べて浮腫消失、尿タンパク 5g/日、Alb 3g/dL前半とそれぞれ改善した。 Cre は MN 治療開始後 1.0mg/dL に低下しその後 1.5まで再上昇し、MMF投与開始後はほぼ横ばいであった。現在外来治療継続中である。

【考察】 移植腎の MN は抗体関連拒絶との関連が指摘され、治療抵抗性である場合も多い。今回は mPSLなどが無効で MMF と血漿交換で改善しており拒絶の関与が推測された。