日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第1回学術集会

生体腎移植後にTMAを生じ、腎生検所見で動脈内膜炎を伴うC4d陰性のAAMRと診断した一例


東邦大学医学部腎臓学講座
小口英世 河村毅 米倉尚 小田さやか 酒井 謙 相川厚
東邦大学医学部病院病理学講座
根本哲生 澁谷和俊

【症例】
36才女性. 妊娠高血圧腎症疑いで2011年に透析導入. 2015年5月に姉をドナーとして血液型適合生体腎移植を施行した. 術前CDCXM, FCXM, HLA抗体シングル同定検査では全て陰性であった. 術後2日目より貧血, 血小板低下, LDH上昇あり, 術後7日目より破砕赤血球が出現, ハプトグロビン低値でTMAの所見と臨床判断した. 11PODでCr 3.02とDGFであったため腎生検を施行した. 腎生検所見では採取腎組織の80%程度が壊死に陥っており, 弓状動脈レベルの血管にV2相当の動脈内膜炎, 糸球体にはメサンジウム融解, 血栓の形成を認めた. PTCのC4d沈着陰性であり, C4d陰性AAMRと診断した. ステロイドパルス療法, サイモグロブリン投与, 血漿交換を施行し, 徐々に腎機能は改善し, 術後35日目でCr1.46まで改善を認めた.
【考察】
本例はC4d陰性のAAMRによる動脈内膜炎を認め, AAMRがTMA形成に寄与した症例と考えられた. 術前既存抗体は検出されなかった. 文献的考察を加えて報告する.