日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第1回学術集会

糖尿病性腎症に対する生体腎移植成績は延長したミコフェノール酸(MPA)の最高血中濃度到達時間(Tmax)に影響されない


○守時 政宏1、祖父江 理1、西島 陽子1、林田 有史2、上田 修史2、筧 善行2、河野 雅和1
1香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科、2香川大学医学部 泌尿器・副腎・腎移植外科

【背景】糖尿病性腎症(DM)に対する腎移植はその他の原疾患と比べ生存率や生着率は同等であるとする報告は散見する。免疫抑制剤に関して、糖尿病患者は非糖尿病患者と比べ腸管運動が低下しているため薬物の吸収が遅延し、MPAのTmaxが延長すると報告されている。しかしながらTmaxと生存・生着率、移植腎機能との関係について調べた報告はない。
【目的】糖尿病性腎症を原疾患とする生体腎移植患者の血中MPA濃度の特徴と移植成績との関連について明らかにする。
【方法】当院におけるDMに対する生体腎移植15例:DM群(I型1例, II型14例)を対象とし、MPAの薬物動態(Tmax, トラフ値, 最高血中濃度(Cmax)、血中濃度-時間曲線下面積(ACU) )と生存・生着率、急性拒絶反応(AR)発生率について対照群(N=49)と比較検討した。MPAの血中濃度測定はSiemens healthcare diagnostic companyのViva-ETM Systemを用いて行った。バンフ分類におけるARもしくはボーダーラインと診断した場合をARとした。
【結果】DM群は対照群と比較して年齢、男女比、体重、透析期間、血清クレアチニン値、 MMFの容量、シクロスポリン/タクロリムスの併用の割合とその容量、mPSLの容量は同等であった。移植後3週において、DM群は対照群と比較して、MPAのトラフ値、Cmax、AUC、dose-normalized AUCは同等であったが、Tmax (h)は延長していた(3.5 vs 2.2、 P=0.02)。移植後3か月の時点ではDM群でTmax (h)の延長(2.8 vs 1.9、 P=0.02)とCmax (mg/l)の低下(8.2 vs 11.5、P=0.04)がみられた。DM群と対照群の移植腎機能(ml/min/1.73m2) 51 vs 49とAR発生率(%)は同等であった。
【結語】DMに対する腎移植では、MPAのTmaxの延長やCmaxの低下がみられるが、AUCが同等であればその他の原疾患の患者と遜色ない移植腎機能やAR発生率となることが示唆された。