日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第1回学術集会

高齢腎移植患者における腎移植前後での筋力・筋量の変化について


○辻田 誠1、岡田 学1、二村 健太1、山本 貴之1、平光 高久1、後藤 憲彦1、鳴海 俊治1、渡井 至彦1
1名古屋第二赤十字病院 移植外科

腎移植は高齢者でも安全に行える医療となりつつあるが、レシピエントの高齢化は近い将来、転倒や骨折を増加させる可能性がある。
一般にCKD患者では、筋力や筋肉量は低下する。握力は筋力の指標であり、一般人のみならず透析患者でも握力は生命予後を予測する。
運動することは筋力を鍛え、転倒や骨折を予防する。そして動脈硬化の原因であるインスリン抵抗性や酸化ストレスを減ずる。しかし現在、腎移植後の運動処方に関するガイドラインはないためが、当院では1日30-60分の歩行を推奨してはいる。
2013年より客観的評価をするためリハビリテーション科と協力して、40歳以上を対象として移植前後の筋力や筋肉量、運動能力を評価した。現在のところ男性26名(平均年齢 約55歳)、女性21名(平均年齢 約52歳)に行った。術前の握力は各々約32㎏・約20㎏であり、一般の日本人の平均では80歳以上にあたる。CPX(心肺運動負荷テスト)でも同年代と比較して66.9%・63.9%であり、運動能力は低い。腎移植後半年から1年では、DEXAによる四肢筋肉量の評価では術前・術後は術後早期に1度減少し改善するものの術前とあまり変化はなかった。握力やCPXも同様であった。腎不全での筋力低下の機序については様々いわれているが不明である。CKDや透析での運動療法についての重要性は認識されつつあるが、腎移植後においても筋力や筋量を改善させるとこは移植腎予後や生命予後の改善につながる可能性がある。