日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第2回学術集会

腎移植後遷延性副甲状腺機能亢進症に対し、シナカルセト長期投与後にPTxを施行せざるを得なかった一例


○巽 亮子1、都川 貴代1、石田 真理1、角田 隆俊1、深川 雅史2
1東海大学八王子病院 腎内分泌代謝内科、2東海大学内科学系 腎内分泌代謝内科

【症例】69才 女性
腎硬化症による慢性腎臓病にて血液透析を3年間施行した後、生体腎移植を受けた患者(Cr 1.0mg/dl)。腎移植前から高リン血症、二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)に対し内服加療を行っていた。移植後、遷延するSHPTに対しシナカルセト投与を継続したが十分な効果が得られず、インターベンションを希望され当院を受診された。経過中、胱結石、腎結石に対し破砕摘出を施行した。その後、2015年12月、当院にてPTxを行った。PTx施行直前にシナカルセト内服を中止し、シナカルセト中止とPTxに伴う血液所見、尿検査所見の変化を観察した。

【結果】
i-PTHはシナカルセト中止により上昇し、PTxにより低下した。シナカルセト中止により24時間蓄尿中Caは内服中止翌日より低下を認めた。これに伴い血清Ca値は増加した。一方、尿中IP排泄、血清IPに大きな変化を認めなかった。PTx後、尿中Ca排泄は一過性に著明な増加を認め、2日程度で術前同等に調整されたが、血中Caは低下した。尿中IP排泄はPTx後著明に低下し、血中IPは徐々に上昇した。sCrは術後1日目に一過性の上昇を認めたが5日目には術前同等まで改善した。

【まとめ】
シナカルセト内服により尿中Ca排泄が増加することが示唆された。本症例では、経過中に多発する尿路結石を発症しており、尿中Ca排泄増加が一因となったと考えられた。これは移植腎の予後増悪因子にもなりうるため、移植施行前に診断されたSHPTに対して移植前のPTxを検討することが必要と考えられた。現在、PTx前後のFGF23、αKlothoを測定中であり併せて報告する。