腎移植後のintact PTHと患者予後に関する検討
【背景・目的】三次性副甲状腺機能亢進症は腎移植後の長期予後と関連することが報告されている。今回我々は千葉東病院における腎移植後のintact PTHと患者予後について検討した。
【方法】2005年から2011年に当院で腎移植を受けた症例で、移植後のintact PTHを確認できている52例を対象とした。総死亡、末期腎不全、Crの1.5倍化を複合エンドポイントとして、intact PTHとの関連を生存時間分析を用いて解析した。移植後intact PTH中央値188 pg/dlをカットオフとして、2群間で長期予後を比較した。
【結果】患者背景は男性25名、女性27名、平均年齢48±10歳、原疾患が糖尿病の症例は10例であった。移植前透析歴は平均7.9±6.5年であり、ベースラインでの検査値はCr 1.4±0.4 mg/dl、補正Ca10.5±1.0mg/dl、Pi 2.6±0.7 mg/dlであった。intact PTHは移植前348±168 pg/ml、移植後233±176 pg/mlであった。観察期間の中央値は101ヵ月で、intact PTHが高い群が低い群に比べてHR 3.7 (95%CI 1.1-12.3)で有意に予後が悪かった。
【結論】本検討では症例数が少なく交絡要因の調整が不十分であったものの、移植後intact PTH値が長期予後に関わる可能性が示唆された。他のMBDマーカーとの関連を含め、今後さらなる検討が必要である。