日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第2回学術集会

献腎移植を受けた透析歴30年の1例


○住田 実穂、二瓶 大、板橋 淑裕、村松 真樹、大橋 靖、酒井 謙、相川 厚
東邦大学医学部 腎臓学講座

【緒言】本邦の献腎移植は待機期間が長く、透析関連合併症が問題となる。血液透析歴30年の患者に献腎移植を施行したので報告する。

【症例】66歳女性。妊娠高血圧症を原疾患とする末期腎不全にて37歳時に血液透析を導入した。透析管理は比較的良好であったが、ここ数年は度重なるアクセス不全にて入退院を繰り返していた。心停止ドナー出現に伴い、レシピエント第4候補となり緊急入院し腎移植を施行した。内腸骨動脈は石灰化をきたしており移植腎動脈は外腸骨動脈に吻合した。術中初尿は認めず、十分な腎機能回復まで約1ヶ月、計10回の透析を要した。廃用性萎縮膀胱のため粘膜下トンネル作成が困難であり、術後2週間で膀胱尿管吻合不全による創部からの尿溢流と創部離開・感染を併発した。術後5ヶ月目に人工血管感染が出現。7ヶ月目にシャント瘤が増大し破裂の危険性があり切除を行った。経過中、臨床的急性拒絶反応を認めず、移植腎機能は良好に推移した。

【結語】透析歴30年の生存率は10%程度で、アクセスも限界に近づいていた。術後長期透析に関連する様々な合併症を併発したが、献腎移植は患者のQOLとおそらく生命予後の延長に寄与した。