日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第2回学術集会

腎移植後サイトメガロウイルス感染症に対するミコフェノール酸モフェチルからエベロリムスへの切り替えによる治療支持効果の検討


○二村 健太、畑添 久美子、木村 隆、岡田 学、山本 貴之、辻田 誠、平光 高久、後藤 憲彦、鳴海 俊治、渡井 至彦
名古屋第二赤十字病院 移植・内分泌外科

【背景】近年、mTOR阻害薬による腎移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染症の発症率低下効果が明らかとなっているが、CMV感染症発症後にmTOR阻害薬を新規に追加もしくは切り替えする事による効果は明らかではない。そこで腎移植後CMV感染症に対するミコフェノール酸モフェチル(MMF)からエベロリムス(EVR)への切り替えによる治療支持効果を検討した。

【対象】当院で腎移植を施行したMMFを使用中のレシピエントのうち、移植後CMV感染症に対してガンシクロビル(GCV)もしくはバルガンシクロビル(VGCV)の投与及びMMFの減量/中止によっても、1週間以上CMVアンチゲネミア法(C10C11)によるCMV抗原陽性細胞数の低下がみられず、MMFからEVRへの切り替えを行った症例(EVR群, n=3)を対象とした。歴史的対照として、2007年から2014年に腎移植を受けたレシピエント(n=617)のうち、移植後CMV感染症を発症しGCV/VGCVの投与及びMMFの減量/中止によっても1週間以上(MMF-A群, n=31)、および2週間以上(MMF-B群, n=11)、CMV抗原陽性細胞数の低下がみられなかった症例とした。

【結果】GCV治療開始後のCMV抗原陽性細胞数は治療開始後2週から16週までのいずれの期間もEVR群で少ない傾向にあった。各群で総GCV投与日数に差はみられなかったが、総VGCV投与日数はEVR群で短かった。

【結語】GCV治療抵抗傾向のある腎移植後CMV感染症に対して、MMFからEVRへの切り替えは有効であり、VGCV治療期間の短縮が期待できる。