腎移植内科研究会・第2回学術集会
腎臓移植レシピエントにおけるトラベルワクチンの周知状況
静岡県立総合病院 腎臓内科
【目的】腎臓移植レシピエントに対するトラベルワクチンの周知状況を明らかにすること。
【方法】先行研究を参考に作成したトラベルワクチンに関するアンケートを用いた横断研究。対象は1989年1月1日から2015年5月31日の間に当院で腎臓移植術を施行したレシピエント128例(生体腎 68例、献腎 60例)の内、除外基準をクリアした86例(生体腎54例、献腎32例)。除外基準は移植時の年齢が18歳未満、アンケート実施時点で移植後3ヶ月未満、アンケート実施時に当科で経過観察していなかったレシピエント。アンケートは2015年9月1日から実施し、移植外来の待ち時間で記載、当日回収。
【結果】対象となった86例中24例(27.9%)がトラベルワクチンを周知し、その情報源として当科担当医が含まれていたのは1例(4.2%)、当科担当医を含む医療者が含まれていたのは5例(20.8%)であった。15例(17.4%)が移植後海外に渡航し、内7例(46.7%)がトラベルワクチンを周知、1例(6.7%)が実際に接種を行った。周知しながら接種に至らなかった6例の内5例は周知していたが不要だと考え、1例は渡航後に存在を知ったためであった。
【結論】腎臓移植レシピエントに対するトラベルワクチンの周知は不十分であり、医療者からの情報提供も少ないと考えられた。