De novo IgA 腎症治療後に MGPN の再発を認めた1例
【症例】64 歳女性
【主訴】下肢浮腫
【現病歴】41 歳時ネフローゼ症候群を発症、自己腎生検にて膜性増殖性糸球体腎炎と診断された。
PSL にて治療されたが徐々に腎機能低下を認め、59 歳時夫をドナーとする未透析生体腎移植を施行した。
摘出腎腎生検にて IgA の沈着は認めなかったが、1 年後のプロトコール生検において IgA のメサンギウム領域への沈着を認めた。
検尿異常、C3 沈着は認めなかったが、1 個の糸球体で線維細胞性半月体形成を認めたことより、自己腎生検の診断結果を疑い、再発性 IgA 腎症と考え、両側口蓋扁桃摘出術+ステロ イドパルス療法を行った。
3 年目のプロトコール生検では IgA の沈着は消失していたが、新規に C3 沈着 を認めていた。
移植後 4 年半で下肢浮腫が出現、10g/gCr 程度のネフローゼ症候群を認め、エピソード腎生検を行ったところ、C3、IgG、C1q の沈着を伴う膜性増殖性糸球体腎炎の像を認めた。
IgA の沈着は認めず、 1 年時に認められた IgA 腎症は De novo であったと考えられた。
ステロイドによる治療を行い、 蛋白尿は減少したが完全寛解には至っていない。
【結論】移植腎における IgA 沈着を De novo と確定診断することは困難である。 また、De novo かつ検尿異常のない IgA 腎症でも半月体形成を示すことがある。