日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

De novo IgA 腎症治療後に MGPN の再発を認めた1例


◯祖父江 理1、串田 吉生2、下野 愛子1、大西 啓右1、藤田 拓朗1、尾崎 太郎1、守時 政宏1、 西島 陽子1、上田 修史3、南野 哲男1
1香川大学医学部附属病院 腎臓内科、2同 病理診断科、3同 泌尿器・副腎・腎移植外科

【症例】64 歳女性

【主訴】下肢浮腫

【現病歴】41 歳時ネフローゼ症候群を発症、自己腎生検にて膜性増殖性糸球体腎炎と診断された。 PSL にて治療されたが徐々に腎機能低下を認め、59 歳時夫をドナーとする未透析生体腎移植を施行した。 摘出腎腎生検にて IgA の沈着は認めなかったが、1 年後のプロトコール生検において IgA のメサンギウム領域への沈着を認めた。 検尿異常、C3 沈着は認めなかったが、1 個の糸球体で線維細胞性半月体形成を認めたことより、自己腎生検の診断結果を疑い、再発性 IgA 腎症と考え、両側口蓋扁桃摘出術+ステロ イドパルス療法を行った。 3 年目のプロトコール生検では IgA の沈着は消失していたが、新規に C3 沈着 を認めていた。 移植後 4 年半で下肢浮腫が出現、10g/gCr 程度のネフローゼ症候群を認め、エピソード腎生検を行ったところ、C3、IgG、C1q の沈着を伴う膜性増殖性糸球体腎炎の像を認めた。 IgA の沈着は認めず、 1 年時に認められた IgA 腎症は De novo であったと考えられた。 ステロイドによる治療を行い、 蛋白尿は減少したが完全寛解には至っていない。

【結論】移植腎における IgA 沈着を De novo と確定診断することは困難である。 また、De novo かつ検尿異常のない IgA 腎症でも半月体形成を示すことがある。