腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

生体腎移植後早期での再発が疑われた proliferative glomerulonephritis with monoclonal IgG deposits (PGNMID)


◯勝野 敬之1、安田 宜成1、坪井 直毅1、丸山 彰一1、藤田 高史2、加藤 真史2
1名古屋大学大学院医学系研究科 腎臓内科、2名古屋大学大学院医学系研究科 泌尿器科

【症例】46 歳男性

【病歴】 以前より尿蛋白が指摘されていたが、原因不明のまま腎不全が進行し血液透析が開始された。透析開始 5 ヶ月後、母親をドナーとした血液型不適合生体腎移植が施行された。 1 ヶ月後の移植腎生検において、 IF で IgG、C3、C4、C1q がメサンギウム領域に陽性であった。EM でメサンギウム領域の EDD も観察された。 LM では有意な変化は認めず、腎機能も安定していたため経過観察となった。その後、尿蛋白が 1g/day以上と増加し、エピソード腎生検が施行された。 IF では IgG、C3、C1q がメサンギウム領域と係蹄壁に陽性で、LM でメサンギウム増殖を主体とする変化が認められた。EM ではメサンギウムに加えて内皮下にも EDD が観察された。 ステロイドパルスに引き続き、後療法 PSL30mg で治療したが効果 は得られなかった。尿蛋白はさらに増加しネフローゼ症候群を呈したため、精査目的で入院となった。

【経過】 入院後、移植腎生検を施行した。IF は前回同様であったが、LM では MPGN に類似した病理所見へと変化していた。EM では内皮下を主体とする多量の EDD が観察された。 追加で IgG サブクラスと軽鎖の染色を行い、IgG3 と kappa のみ陽性であることが判明し、最終的に proliferative glomerulonephritis with monoclonal IgG deposits(PGNMID)と診断した。

【考察】 PGNMID は近年提唱された稀な疾患であり、腎移植後に再発することも報告されている。本症例も再発性腎炎と考えられ、これまでの報告の中では最も早期での再発症例である。 複数回の腎生検により、病理所見の経時的変化が観察された。

【結語】 腎移植後に再発した PGNMID を経験した。文献的考察とともに報告する。