腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

生体腎移植ドナーにおける血清尿酸値と 腎内細小動脈病変の関係;0時間生検を用いた検討


◯松隈 祐太、升谷 耕介、田中 茂、土本 晃裕、栗原 啓、岡部 安博、中村 雅史、鶴屋 和彦、 北園 孝成
九州大学大学院 病態機能内科学、福岡歯科大学 総合医学、 九州大学大学院 臨床腫瘍外科学

【背景】 近年、尿酸は慢性腎臓病(CKD)における腎内細小動脈病変の促進因子として注目されている。 しかし、 尿酸と細小動脈病変との関連について、腎機能の影響を排除した検討はない。今回、生体腎移植におけるドナー腎生検標本を用いて、 術前の血清尿酸値(SUA)と病理所見の関係を検討した。

【方法】 2013 年~2015 年に当院で 0 時間生検を施行した生体腎ドナー173 名を横断的に調査した。 ドナーを SUA で 4 分位(Q1;<4.1, Q2;4.1-4.6, Q3;4.7-5.5, Q4;≧5.6 mg/dL)に分け、糸球体硬化、間質線維化、小動脈・細小動脈病変との関係を評価した。

【結果】 対象集団は、年齢 56±11 歳、推算糸球体濾過量 83±18mL/min/1.73 ㎡、SUA 4.9±1.2 mg/dL、17%に高血圧の合併を認めた。 細小動脈の硝子様変化、間質線維化はSUAの上昇に伴い増加し (P for trend = 0.001)、 硝子様変化は、 他の動脈硬化の危険因子を含む多変量調整後もその関連は有意であった(P for trend = 0.02, Q4 オッズ比[対 Q1]4.33;95%CI 1.31-15.3, P = 0.02)。

【結論】 非 CKD である生体腎ドナーにおいて、SUA と細小動脈の硝子様変化の間に有意な相対危険度の上昇を認めた。 年齢や腎機能とは独立した SUA と細小動脈硬化の直接的な関連が示唆された。