腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

当院腎臓内科から紹介した先行的腎移植症例の検討


◯島本 真実子1、福澤 信之2、見附 明彦2、佐々木 洋彰1、石田 貴之1、城下 弘一1、原田 浩2
1市立札幌病院 腎臓内科、2同 腎臓移植外科 2

【緒言】 腎移植後早期の潜在的拒絶反応(SAR)への治療介入による、移植腎予後への影響を検討した。

【背景・目的】 当院では先行的腎移植(PEKT)に力を入れており、腎臓内科での腎代替療法のオプション提示の際に積極的に腎移植を提案し、スムーズな腎移植への移行を目指している。 今回、PEKT ができた症例の特 徴などについて検討した。

【対象】 2010 年 4 月から 2015 年 3 月までに当院で行った生体腎移植症例のうち、二次移植を除外した先行的腎移植のレシピエント 60 例のうち、 当科からの紹介の 15 例と他院からの紹介である 45 例について、移植 時腎機能、原疾患、ドナーなどの特徴を比較した。

【結果】 当院紹介群は、移植時年齢 44.5±3.3 歳、男性 14 例、女性 2 例と男性が多く、原疾患は IgA 腎症 6 例、 FSGS 4 例、Alport 症候群 1 例の順であった。 ドナーは親 7 例、夫婦 7 例、子 1 例であった。移植時の sCr 5.7±0.2mg/dl, eGFR 9.8±0.5ml/min であった。 一方、他施設群は、男性 8 例、女性 37 例と女性が多く、原疾患は糖尿性腎症 10 例、IgA 腎症 9 例、APDKD 4 例の順であった。 ドナーは夫婦 20 例、親 17 例、兄弟 6 例、子 2 例であった。腎移植時 sCr 6.1mg/dl, eGFR 8.8±0.4ml/min であった。 腎移植後平均観察期間は 51.2±2.1 ヶ月で、58 例が生着していた。

【まとめ】 当院からの紹介例と他院からの紹介例に、移植時の腎機能には有意差はなかったが、性別や原疾患に異なる特徴を認めた。 希望する患者が先行的腎移植を受けられるように、早期からの情報提供と腎臓移植外科との連携開始が重要と考えられる。 当科の体制の向上とともに、病診連携を通じた地域の医療機関の啓発についても検討する。