腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第3回学術集会

腎移植におけるシクロスポリン 1 日 2 回内服から 1 日 1 回内服への切り替えに関する検討


◯南 真人1、二村 健太1、岡田 学2、木村 隆2、辻田 誠1、平光 高久2、 一森 敏弘2、 後藤 憲彦1、鳴海 俊治2、渡井 至彦2
1名古屋第二赤十字病院 腎臓病総合医療センター 移植内科、 2同 移植外科・内分泌外科

【背景】 腎移植後においてシクロスポリン(CyA)は通常 1 日 2 回内服するが、吸収率の個体差により有効な血中濃度プロファイルを得られないことがある。 その際、1 日 2 回内服から 1 日 1 回内服への切り替えを行うことがあるが、その安全性については明らかになっていない。

【方法】 対象は当院で腎移植後に CyA を内服しており、2000 年から 2016 年の間に 1 日 2 回内服から 1 日 1 回内服へ切り替えを行った患者 61 例(男性 43 例、女性 18 例)とした。 切り替え時から 3 ヶ月後の時点での投与量、血中濃度(C0、C2、AUC0-2)、eGFR、拒絶反応、graft loss、有害事象について後方視的に検討した。

【結果】 CyA の平均一日総投与量は 164.7mgから119.4mgへ減少した(P<0.001)。平均トラフ値(C0) は 145.5ng/ml から 72.3ng/ml へ低下し(P<0.001)、C2・AUC0-2 はそれぞれ有意に増加した。 切り替え前後における ΔeGFR は+0.66ml/min/1.73m2であった。切り替えに伴う拒絶反応および graft loss の発生は 1 例も認めなかった。 有害事象として新たに出現した肝障害が 1 例、脂質異常症が 2 例であったが、いずれも軽度の 変化であった。

【結論】 腎移植後の免疫抑制療法として、CyA1 日 2 回内服から 1 日 1 回内服への切り替えは、大きな有害事象の発生無く CyA の一日総投与量を減じることが可能であった。