日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第4回学術集会

腎移植後 1 年経過レシピエントに対して施行した BK ウイルススクリーニング検査の検討


○海上 耕平1,2、石渡 亜由美2,4、田村 友美1、古澤 美由紀2,3、奥見 雅由3、石田 英樹3、田邉 一成3、新田 孝作2
1ときわ会 余丁町クリニック、2東京女子医科大学病院 腎臓内科、3東京女子医科大学病院 泌尿器科、4大久保病院

腎移植の成績は年々向上しているが、免疫抑制療法の進歩とともに、移植後合併症としてウイルス感染症が問題となる。ウイルス感染症のうち、移植後レシピエントにおいて重要なものに BK ウイルス感染症が知られている。特に BK ウイルス腎症による腎機能障害は移植腎機能喪失などを引き起こすため注意が必要である。治療として免疫抑制剤の減量・中止などが挙げられるが、急性拒絶反応を合併するな ど難渋する場合も少なくない。このため、スクリーニング検査を含めた早期診断が望ましいとされる。本来、スクリーニング検査としては尿沈渣を行い封入体含有細胞が検出された場合に尿細胞診を行い decoy cell を確認し、出現時は血清・尿 DNA PCR を行うが、現在、同 DNA PCR 検査は保険収斂されておらず、好発時期を含め十分な知見も少ない。
今回、当クリニックに通院中の 2015 年 4 月 1 日から 2017 年 3 月 31 日に腎移植を施行された患者 88 名に対して尿 BK ウイルスクリーニング検査を施行、6 例に 尿 BK ウイルス DNA PCR 陽性を認め、うち 1 例で BK ウイルス腎症を認めた。加療及び転帰に関して検討を行ったので報告する。