日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第4回学術集会

腎移植後 13 年目に移植腎動脈上流で総腸骨動脈瘤破裂をきたした 1 症例


○岡 健太郎1、村上 拓哉1、阿久津 博彦3、新里 高広2、清水 俊洋2、増田 貴博1、鈴木 倫子1、前嶋 明人1、川人 宏次3、秋元 哲1、齋藤 修1、八木澤 隆2、長田 太助1
1自治医科大学 内科学講座腎臓内科学部門、2同 腎泌尿器外科学講座腎臓外科学部門、3同 外科学講座心臓血管外科学部門

【症例】 原疾患不明の慢性腎不全により 52 歳時に透析導入し、60 歳時に A 病院で夫婦間 ABO 血液型不適合 (B→O)右腸骨窩腎移植術+脾臓摘出術を行い透析離脱となった 73 歳女性。A 病院で 69 歳時の移植腎生検で慢性抗体関連拒絶反応の診断となり血漿交換療法とリツキシマブより治療が開始された。71 歳時、移植後 11 年目で行われた移植腎腎生検でも慢性抗体関連拒絶反応が認められたが、年齢等を考慮し免疫抑制療法を強化することなくステロイドは減量の方針となり、保存期腎不全として加療された。X 年 1 月の時点で Cr=2.18 mg/dl であった。X 年 2 月に B 病院の単純 CT で移植腎動脈上流での右総腸骨動脈瘤破裂と診断され当院へ搬送となり、心臓血管外科で右総腸骨動脈人工血管置換術を行った。大動脈の阻血時間は 2 時間弱で移植腎動脈への直接の侵襲はなかったが、術中に尿量は 30ml/h へ減少し、術後よりほぼ無尿となる急性腎障害をきたした。 Cr=9.67 mg/dl、及びうっ血性心不全をきたし第 3 病日血液透析が開始され、第 31 病日に腎障害のマネジメントを目的に当科に転科となった。利尿薬による尿量保持などにより、第 40 病日に血液透析を離脱し た。

【考察】 一般患者の総腸骨動脈瘤の治療対象として径3cm以上や3.5cm以上を推奨する報告や総腸骨動脈瘤破裂の最小径は 38mm であるとの報告がある。本症例の瘤は入院 19 ヶ月前の CT で径 22×24mm、11 ヶ月前 は 24×24.5mm、破裂確認時は 27×24.4mm であり更に尾側に新たに長径 50mm の嚢状となった血管が確認された。腎移植後の患者の腸骨動脈瘤の管理についてはより厳格な監視が必要と考え、本症例の経過に文献的考察を加えて報告する。