日本腎移植内科研究会

腎移植内科研究会・第4回学術集会

移植後リンパ増殖性疾患により急な転帰で死亡した一例


○南 知宏、村津 淳、奥手 祐治郎、三木 渉、寺嶋 謙、米田 傑、森島 淳之、阪口 勝彦
一般財団法人住友病院 腎センター

【症例】36 歳男性

【主訴】全身倦怠感

【現病歴】8 歳時に先天性萎縮腎と診断され、10 歳から腹膜透析を行っていた。22 歳時に姉をドナーと した ABO 適合生体腎移植を施行された。 数年は外来加療を継続していたが、その後、引きこもりとな り外出しなくなった。タクロリムス、プレドニゾロン、ミコフェノール酸モフェチルの免疫抑制薬は往診医より処方されていたが、 採血は拒否されており、血中濃度の調整はできていなかった。入院 1 週間程前から腹痛、全身倦怠感が出現した。経過みていたが、増悪傾向であり、当院救急受診した。 受診時炎症反応、DIC 状態であり、CT、エコーで頸部、大動脈周囲、腸間膜内など多数のリンパ節腫張を指摘された。移植後リンパ増殖性疾患を疑い、免疫抑制薬を減量したが、 その後も DIC 増悪傾向であった。第 5 病日にリツキサン投与を行ったが、投与開始直後に血圧低下を認め、中止した。その後、意識障害増悪、血圧低下傾向となり、入院第 6 病日に死亡した。 病理解剖で DLBCL, germinal center B-cell subtype の所見と考えられた。

【考察】腎移植後の移植後リンパ増殖性疾患により急な転帰で死亡した一例であった。