腎移植維持期における骨粗鬆症と筋骨格筋量の関連
【背景】 腎移植後の骨粗鬆症のリスクは、年齢や性別、糖尿病などの古典的因子以外にステロイドや免疫抑制剤、 CKD-MBD など様々な原因が存在するため健常人と比較し高い。
そして骨粗鬆症予防に一般に運動は重要とされているが、腎移植患者における筋量と骨との関連を検討した報告は少ない。
【対象・方法】 横断研究。腎移植維持期 317 名を対象に DEXA・体組成計、SF-36 を測定。大腿骨頚部の骨密度から下位 1/3 の患者(n=105)を低値と定義し、骨粗鬆症との関連因子の探索として、
患者背景や筋骨格筋量を含めた体組成、QOL の比較検討を行った。
【結果】 年齢 51.4 歳(20-77)、男性 210 名(64.4%)、移植後 13.2 年(1-40.4)、Cre1.33mg/dl(0.48-6.91)で あった(中央値)。骨密度低値群と対照群(n=202)では、
大腿骨頚部の BMD は 0.64±0.01g/cm2と 0.85 ±0.01 g/cm2、T score は-2.27±0.09、-0.68±0.06。骨密度低値と関連する因子の検討では、単変量にて年齢、eGFR、SMI(筋骨格筋指数)、
BMI で関連を認めたが、移植後年数、献腎、透析歴、糖尿病、 MBD(Ca、P、iPTH)との関連は乏しかった。患者背景を調整した検討では eGFR と SMI が独立した因子で、
腰椎と橈骨の BMD で同様の解析を行っても SMI は独立した因子であった。
【結語】 腎移植維持期の骨密度低下に、腎機能以外に骨格筋量との関連も認め、骨粗鬆症対策として筋力向上を目指した運動は重要な指導である事が示唆された。
ただ、実際の効果は前向き研究での検討が必要である。